平成世代初、至上最速の7戦目で世界王者となった井岡一翔ですがあまりに順調に進んだところがちょっと心配な感じも。こんな興味深い記事が出てきたので紹介しておきます。


【ボクシング】7戦目で王者となった井岡一翔に立ちふさがる壁とは?
スポルティーバ 2月14日配信記事

 文句のつけようがないほどの完勝といえた。

 40戦して無敗(39勝14KO1分)のV6王者オーレドン・シッサマーチャイを向こうに回しても、井岡にはまったく臆する様子が見られなかった。それどころか、深い読みに基(もと)づいて冷静に戦っていたといえる。「相手は迎え撃つ展開になったら巧い選手。だから、逆に前に出て来させてカウンターを狙った」という作戦。そして「オーレドンはパンチを打ったあとで身体が流れるクセがあるので、そこに当てようと考えていた。(KOパンチは)瞬間、ボディが空いたのが分かったから打った」という勝負勘と運動能力。

 これがプロ7戦目かと思うほど、21歳の新チャンピオンは落ち着いていた。

 試合前から、経験不足を懸念する声はあった。私自身、世界戦を控えた井岡に、「経験が少ないという意識や不安はないのか」と、単純な疑問をぶつけたことがある。

「特にそうは思いません。もし、何十戦もやっていれば勝てるという保障があるのなら別ですけど、ベテランの選手が世界戦で勝てるという保障はどこにもないじゃないですか」

 井岡の答えは明快だった。そして、彼はこうも付け加えた。

「僕にはアマチュアで105戦(95勝64KO・RSC10敗)やってきたという経験と自信があります。ボクシングそのものも10年ぐらいやっていて、アマチュア時代もプロで戦っているつもりで、一戦一戦を戦ってきました。実戦が大事だということは分かりますが、でも、自分が経験不足だとは思いません。せっかく記録を狙える位置にいるのだから、狙うのは当然。それに、世界戦は勝つ自信があるからやるんです」

 それを実際のリングで実証してみせたのだから、これはもう脱帽である。

 しかし今後に関しては、心配や不安が常に付きまとうことになろう。

 過去に10戦未満で世界の頂点に上り詰めたボクサーは、3戦目のセンサク・ムアンスリン(タイ=1975年WBC世界スーパーライト級)や4戦目のウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ=1995年WBA世界バンタム級)、8戦目のレオン・スピンクス(アメリカ合衆国=1978年WBA・WBC世界ヘビー級)や辰吉丈一郎(大阪帝拳=1991年WBC世界バンタム級)ら10名を超えるが、「その後」の成否は極端に分かれる。

 7戦目で王座獲得を果たし、その勢いを継続したまま3階級制覇を成し遂げたジェフ・フェネック(オーストラリア=1985年IBF世界バンタム級)などは、代表的な成功例だ。9戦目の戴冠後、連続13度の防衛を果たした具志堅用高(協栄=1976年WBAライトフライ級)も、成功者のひとりといえよう。

 その一方で、スピンクスのように8戦目がピークだった選手もいる。また、一時代を築いたセンサクや辰吉のように、キャリアの途中で眼疾(がんしつ)により選手寿命を縮めた選手が少なくない事実にも、目を向ける必要があるだろう。

 10戦足らずのプロキャリアで世界を極めるほどだから、彼らが天賦(てんぷ)の才に恵まれていたことは間違いない。問題は、その才能に見合った大成功をその後、収めることができたかどうかだ。記録の陰で、急ぎ過ぎたがために十分な開花に至らなかった選手が数多く存在する事実を忘れてはならない。

 チャンピオンは世界中の猛者から狙われる身である。怖いのは今後、井岡が自分や陣営の意思とは関係なく、自分と同レベルか、場合によっては自分を上回る技量を備えた選手と、半ば強制的に手合わせさせられるという点であろう。もう本人や陣営が思い描く成長プログラムに沿って、マッチメイクしていくことが難しくなってしまうのである。

 アマチュアには存在しなかった変則リズムの選手や、反則ギリギリのラフな選手との対戦も避けられないところ。試合中に負傷したり、劣勢に立たされたりといった状況も出てくることだろう。そういった未知の窮地をも大舞台で乗り切らなければ、手に入れた地位を保つことはできないのだ。体力のみならず、精神の疲弊も半端ではないはずだ。

 21歳、わずか7戦で上り詰めた世界の頂上。

 所属ジムの井岡弘樹会長が『2階級制覇の叔父である』というストーリー性や、素直で溌剌(はつらつ)とした好感度の高いスポーツマンということで、井岡の人気や注目度は急上昇することだろう。現に『スポンサーからポルシェ贈呈』と報道されるなど、試合直後から新チャンピオンの周囲は、加熱し過ぎとも思えるフィーバーぶりを見せている。ベルトは地位と名誉を与えてくれるが、同時に満足感や慢心といった目に見えない敵も呼び込むものであるということを、心しておく必要があるだろう。

 そんななかで、自分を見失わずに精進することができるかどうか。そこに、井岡一翔の今後の成否はかかっているといえる。

【プロフィール】
井岡一翔(いおか・かずと)
1989年3月24日生まれ、大阪府堺市出身。WBC世界ミニマム級王者。史上3人目となる高校6冠を達成し、東京農業大へ進学。2009年プロデビュー。2010年、日本ライトフライ級王座獲得。井岡ボクシングジム所属。7勝無敗5KO。165cm。

井岡一翔世界王座獲得5R


井岡一翔世界奪取翌日 せ や ね ん

さて注目の生出演まであと5日です。テレビで井岡一翔は何を語るのか注目です。